ギター・ラッカー塗装は音鳴りがいい?!真相は如何に・・・?
ギターの塗装には様々な種類があります。
その中でもラッカー塗装はハイクラスなギターに行われる塗装のため、ラッカー塗装が行われていると高級感が漂ってきます。
では本当にラッカー塗装は他の塗装に比べて格上の塗装なのでしょうか?
今回は、このラッカー塗装神話について考えてみたいと思います。
目次
ギターの塗装の種類について
大きく分けてエレキギターの塗装には以下の種類があります。
1.ポリ系塗装
2.ラッカー系塗装
3.オイルフィニッシュ
今回はこの中のラッカー系塗装に焦点を当てて見ていくワケですが、簡単に言うとラッカー塗装とは、一般的にニトロセルロース系塗料をギター表面に塗ることでコーティングする塗装のことです。
この塗料には、幾つかの特徴があります。
塗料の乾燥時間が長い
塗料を厚く塗りすぎると、塗料がたれてきてしまったり、塗りムラができます。
そこで薄く何回も塗っては乾かすという作業工程が必要になり、その結果コストが高くなります。
その反面、塗膜が薄いために木材本来の鳴りを損なわず、より木材の特性を活かしたギターの音色にすることができるといわれています。
外気や温度変化、日光の影響を受けやすい
ラッカー系塗装のギターは、ポリ系塗装のギターよりも繊細な取り扱いが必要になり、高級品のブランド感を感じさせる一因にもなっていないとも言えません。
楽器店でもラッカー系塗装のギターは、外気や湿度を避けるため、お店の奥の方に大切に保管されているイメージがありました。
最近の塗装事情
上記のように、薄い塗膜でギター本来の鳴りを活かすというラッカー系塗装のメリットがあるのですが、最近ではポリ系塗装でも薄くコーティングが出来るようになってきました。
また、表面のカラーリングはラッカーで行いつつも、コーティングに関してはポリ系コーティングを行うハイエンドギターメーカーも増えてきています。
そうなると、木材本来の鳴りを活かすという点では、ポリ系でも同じレベルのクオリティを持つことになります。
ラッカー系塗料による化学変化や温度、湿度の影響の弱さを考えると、今後はますますポリ系塗装のバリエーションやクオリティが上がっていく事が考えられます。
音色への影響
薄い塗膜のラッカー系塗装では木材本来の鳴りをより活かすことができると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
非常に個人的な感性による文章になりますが、以下のように考えています。
ギター本来の鳴りを活かす音色やセッティング、演奏シーンでは、このような塗装の違いは聴き取れると思います。
逆に、ハイゲイン・爆音の音楽ではその違いが分かりにくくなります。
弾いた感触として音色の違いが感じられても、PAを通した爆音でそれを感じることは非常に難しい気がします。
それよりもアンプのセッティングやピックアップのバリエーション、ピックの違いの方がより大きく出音に影響を与えるように思うのです。
初心者にオススメなのは?
これらの事から。ギター初心者にはポリ系塗装のギターをお勧めしています。
ポリ系塗装でも薄くコーティングできる現在では、よりケアに手間のかかるラッカー系塗装をわざわざ選択するのは、メリットよりデメリットが大きく感じられるからです。
もちろん、自分が本当に欲しいと思ったギターなら塗装がどのような種類でも構わないですし、その結果ラッカー系塗装だと知らずに購入する場合もあるでしょう。
ただ、もしそれらの塗装の違いをはじめから知っていたら、その情報も選択肢の一つになると思います。
ぜひ自分のギターの塗装を一度チェックして、より適切なケアを出来るようにしてください。