アルバム流通(ディストリビューション)その1

前回のミックスの工程と並行してアルバム流通(ディストリビュート)に関わる様々な作業を行います。
実はプロ志向でとても頑張っている生徒が何人もこの流通に関わる知識がなく、とても悔しい思いをしてきているのを実際に見てきたので、今回からの数回はそれをカバーできる内容になればと思い少し詳しく説明します。

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目次

フィジカル音源のディストリビュートの重要性

まずはフィジカル音源のディストリビュートの重要性について

アルバムを販売する際、タワレコなどレコード店においてもらうにはどのようなことが必要なのか、説明します。

フィジカルディストリビュートなのかデジタル配信なのか
フィジカルディストリビュートとは「モノ」としてアルバムを制作し、タワレコやディスクユニオンなど実際のレコード店でアルバムを販売することです。またアマゾンなどオンラインショップでの販売も行います。
デジタル配信とは音源データをストリーミングやダウンロードで配信、販売することです。

世界的な流れとしては10年以上前からCDの売り上げはデジタル配信にとって代わられてきていると言えます。それまで標準装備だったCDドライブも最近のパソコンにはありませんし、大手レコード店も規模を縮小しています。

ではミュージシャンが現在音源を発表する時にフィジカルディストリビュートを行う意味はあるのでしょうか?

フィジカルディストリビュートを行う意味

結論から先に書くと国内のインディーズミュージシャンがフィジカルディストリビュートを行う意味は未だに大きいです。

理由その1 ディスクレビューの獲得

国内ではまだ音楽雑誌などのディスクレビューに取り上げてもらうことでアルバムリリースをプロモートするためには、基本的にフィジカル音源が必要です。デジタルデータだけでレビューをしてくれる雑誌やサイトがまだ少ない状態なのです。
レビュアーの方の立場を考えればわかりますが、今はパソコンで誰でも音源を作ることができます。そのような状態で雑誌社やサイト運営者に送られてくる初心者のミュージシャン、バンドの音源を含めてすべて聴くことは不可能です。
そこでクオリティについてフィルターをかけるために、フィジカル音源だけを受け取るようにしているレビュー雑誌は少なくありません。

理由その2 デザイナーとのコラレボレーション

フィジカル音源とデジタル配信の違いはジャケットなどのデザインにも出てきます。フィジカル音源では表ジャケット、裏ジャケット、盤面、歌詞やフォトのブックレットのデザインまで当然ですが必要です。
そしてそのデザイン性からデジタル配信ではなくフィジカル音源を購入するリスナーがいるのです。
音楽業界外の人と関わることで自分の音樂が予期しない方向にも拡散していく可能性もあるのです。

理由その3 レコ発ライブ

フィジカル音源をリリースする時にレコ発ライブをブッキングし、音源を販売することで販売数をブーストさせることも普通に行われます。普段のライブと少し違う特別なライブを企画してバンドの活動を飛躍させる起爆剤としても重要なものがフィジカル音源です。バンドの活動資金です。

これらの理由から、相談を受けたプロ志向の生徒にはフィジカル音源のディストリビュートを可能であれば強く勧めています。もちろん今後も状況は変わっていくでしょうが、バンドとしてライブやツアーを行い、その上で自分の音楽活動範囲を拡げていくためにはまだデジタル配信だけにシフトするのは早いのではないかと思います。

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