ギター・ナットの種類で音が変わるのは本当ですか?【Q&A】
ギターのパーツの中でも、音質に大きく影響するパーツの一つがナットです。
というのも、弦の振動に直接関わってくる箇所だからです。
このパーツには多くの材質のバリエーションがあり、その種類が音色に大きく影響を与えます。
そこで今回は、ナットの種類の違いによる音色の違いを説明します。
目次
プラスチック製ナット
割と安価なギターに初めから付いている、合成樹脂系のナットです。
安価な反面耐久性にかけるので、安定したチューニングを常に求めるには交換を考えると良いでしょう。
耐久性が無いのでナットのスリット(弦が通る溝)が削れやすく、すぐに溝と弦の間に不要なスペースができてしまいます。
このスペースが弦に不要な振動を生じさせるため、弦のサステインが無くなったりチューニングが安定しにくくなってきます。
牛骨製ナット
もっとも標準的な材質と言っていいでしょう。
なめらかなサステインのある自然な響きが得られます。
フロイドローズなどの金属製ナットを除いた場合、一番使用されており、中級クラス以上のギターではデフォルトでセッティングされていると言っても過言ではありません。
ブラスナット
ブラスナットとは、真鍮製のナットのことです。
金属ナットの特徴として、樹脂や牛骨に比べて耐久性が高く、品質の経年劣化は小さいです。
材質から音色は高音がくっきり出ますが、ギタリストによってはその高音がキンキン響くため、好みでない場合もあります。
サステインはかなり伸びますが、材質そのものが金属であり弦との接触部分になめらかさがあまりないため、アーミングやチョーキングなどを行う際にスムーズな感触にならないと感じるギタリストもいます。
グラファイトナット
グラファイトナットとは、カーボン製のナットことです。
樹脂や牛骨に比べて耐久製が高いだけではなくサステインも良く、ブラスナットに比べて高音のキンキンした感じは少なくなります。
また、ブラスナットに比べて弦との摩擦が少なくなるため、アーミングやチョーキングの際の感触がスムーズに感じられます。
このようにメリットの多い反面、弦との接触面やスリットの調整が難しく、専門の技術を持ったリペアショップでメンテナンスを行ってもらうことが安全です。
ローラーナット
金属製のナットの一種です。
主にシンクロナイズドトレモロと併用して使用されます。
弦が接触する部分がローラーになっていて、弦の伸縮に従って可動するナットです。
非常に高精度なパーツ構成なので、アーミングやチョーキングなどでも音程の安定感がかなり高くなります。
そして、弦の接触部分が金属製パーツなので、サステインもかなり得られます。
メリットの多いナットですが、微小なパーツ構成なのでこまめにメンテナンスをしていないとすぐにローラー部が可動しなくなり、チューニングが安定しなくなってしまうため、チューニングの手間がかかります。
また、金属製のパーツなので湿度に十分注意が必要です。
ロックナット
フロイドローズタイプのトレモロと併用して使用されるナットです。
金属製のナットで、弦の接触部分を上から別の金属パーツで押さえ込む形で弦をロックします。
音色の好みというよりも、トレモロシステムのアーミングの感触からフロイドローズを選ぶ場合が多いので、他のナットとの交換という選択肢としてはあまり考えません。
ただ、弦が通過する部分のエッジをしっかり調整しなければ弦の振動が不安定になったり、チューニングが安定しないので注意が必要です。
これらの材質の違いをしっかり把握することで、自分の演奏にあった種類のナットを選んでください。
より弾きやすく、音色も良い方向に変えることができます。