ライブレコーディングアルバム制作
当スクールのテクニカルディレクターであるギタリスト武藤祐志さんと即興系ドラマー酒井美絵子さんのduoライブレコーディングアルバムの制作をスクールがサポートすることになったので、このブログで制作過程をレポートしていきます。
後期、このアルバムは結果的に東京のボンバレコードと流通契約を結ぶ事になり、国外のJazz系、Rock系レビューを通して、全国的に音源が広がりました。
目次
ライブレコーディングとは。
即興系音楽ではライブをそのまま一発録りして、その音源を使ってミックス、マスタリングを行い、アルバムにする事があります。
武藤先生は多くのゲーム音楽やアイドル音楽作曲時にはスタジオレコーディングを行っていますが、国内外のレコード会社と販売契約しているハードフュージョンバンド「Next order」をはじめ数多くのライブレコーディングアルバムをリリースしたり、ライブレコーディングアルバムにギタリストとして参加しています。
ライブレコーディングアルバムの存在意義について少しだけ教えてもらいました。
以下武藤先生の文章です。
現在はパソコンでの作業で音源をつくるDTMがとても簡単に行うことができるようになり、CDや配信用データ音源を誰でも作成出来るようになりました。
そのため、スタジオレコーディング音源としてアルバムをリリースすることに関して、プロ・アマの差が少しずつなくなってきています。
また、YouTubeをはじめとした動画でも同様に音源を配信できるので、楽曲を発表、リリースすることにたいするハードルが非常に低くなってきています。
自分が気の済むまで録音をやり直したり、音源の完成度を上げるために演奏ミスした部分を差し替えるパンチインパンチアウトを繰り返せば、時間さえあればだれもが完成度の高い音源を作成することができます。
これは音楽の裾野を広げるという意味ではとても良いことなのですが、プロフェッショナリティを存分に発揮するという面ではアマチュア音源との差をつくることが難しくなってきているともいえます。
しかし、ライブレコーディングアルバムは完全に別次元の方向性です。
やり直しのきかない一発録音で勢いのある完成度の高い音源をつくること、そこにプロフェッショナリティを発揮できる大きなチャンスがあります。
そのため、自分がリリースしてきた、また参加してきたアルバムではかなりのパーセンテージでライブレコーディングを敢行しています。
お客さんの前で熱く勢いのあるライブをして、その熱量をそのままアルバムに封じ込めることができるのがライブレコーディングです。もちろんミスれないしやり直しもできません。あるフレーズだけあとから差し替えるといった編集作業も出来ない、高難易度なアルバム作成方法です。
また即興音楽では、ほかのプレイヤーの演奏を聴いて瞬時に反応して演奏していくため、スタジオに入ってレコーディングする際もほとんど一発録りになります。(リテイクはできますが)
そんな緊張感やプロフェッショナリティを存分に楽しんで演奏できるので、自分はライブレコーディングアルバムの作成に音楽家としての時間をたくさん使いたいなあと思っています。
そこで、この企画として、ライブレコーディングアルバムの作成風景をみなさんに紹介できるのがとてもたのしみです。
ライブレコーディングについてスタジオレコーディングとの違い
ここでライブレコーディングについてスタジオレコーディングとの違いを押さえておきましょう。
各楽器を分けて録音していくスタジオレコーディングと違い、いくつかのメリットやデメリットがあります。
ライブレコーディングのメリット
①ライブ演奏をそのままレコーディングし、アルバムにしていくので、音楽に必要なエネルギーやスピード感がレコーディングで損なわれない。
②各楽器ごとにレコーディングを行わないため、アルバムのレコーディング時間が非常に短くて済む。
ライブレコーディングのデメリット
①楽曲をライブで演奏しながらレコーディングするため、演奏の差し替えや録り直しができない。
②レコーディング時の音源をそのまま使用するため、録音技術が必要とされ、自宅でのDTMと違いレコーディング機材が必要になる。
今回のレコーディングエンジニアはスクールでDTMを担当してくれている伊藤YouG先生。
これからいくつかの記事にわたり、ライブレコーディングアルバムの制作現場をレポートしていきます。